1 はじめに

農業を営む上で欠かせないのが「農機具」ですが、その導入方法に悩む方は少なくありません。トラクターやコンバイン、田植え機などの農機具は高額なため、購入すべきか、レンタルで済ませるべきかを判断するのは簡単ではないでしょう。
特に新規就農者にとっては、初期投資を抑えられる「農機具 レンタル」が魅力的に映るかもしれません。一方で、長期的に見れば購入した方がコストを抑えられる場合もあり、どちらが最適かは農業の規模や用途によって異なります。
本記事では、「農機具のレンタルと購入、それぞれのメリット・デメリット」を比較し、どのようなシーンでどちらを選ぶべきかを解説します。適切な選択をすることで、無駄なコストを抑え、農業経営をスムーズに進めることが可能になります。
2 農機具レンタルと購入の違いとは?
農業経営において、農機具の導入方法は「レンタル」と「購入」の2つの選択肢があります。 それぞれの方法にはコスト面、利便性、メンテナンス負担などの違いがあり、経営規模や使用頻度によって最適な選択肢が異なります。
ここでは、「農機具 レンタル」と「農機具 購入」の違いを詳しく解説し、どのような場面でどちらを選ぶべきかを整理していきます。
2.1 農機具レンタルとは?
農機具レンタルとは、必要な時期だけ農機具を借りて利用できるサービスです。レンタルサービスは、JA(農協)、地方自治体、民間企業などが提供しており、近年、特にスマート農機具(GPSトラクター・農業ドローンなど)のレンタルも増加しています。
2.2 農機具購入とは?
農機具を購入することで、自分の農業経営に最適な機材を長期間にわたって使用できるというメリットがあります。特に、使用頻度の高い農機具(例:トラクター・管理機など)は、長期的に見てレンタルよりも経済的に有利になることがあります。
3 レンタルと購入、どちらがお得?費用比較

農機具を導入する際、「レンタル」と「購入」どちらがコスト的にお得なのかは、多くの農業従事者にとって重要な判断ポイントです。農機具は高額な投資となるため、使用頻度や資金計画に応じて最適な選択をすることが経営の安定につながります。
本章では、農機具レンタルと購入の費用を比較し、それぞれのコストメリットについて詳しく解説します。
3.1 初期コスト比較:レンタル vs. 購入
農機具の導入にかかる初期費用の違いを見てみましょう。
農機具の種類 | (目安) 新品購入価格 | (目安) 中古購入価格 | レンタル費用 (1日) | (1ヶ月) | レンタル費用
トラクター | 300万〜1,000万円 | 100万〜500万円 | 2万円〜 | 10万〜30万円 |
コンバイン | 500万〜1,500万円 | 200万〜800万円 | 5万円〜 | 20万〜50万円 |
田植え機 | 200万〜800万円 | 50万〜300万円 | 2万円〜 | 10万〜25万円 |
農薬散布ドローン | 100万〜500万円 | 50万〜200万円 | 5万円〜 | 15万〜40万円 |
レンタルは、購入に比べて初期投資が不要なため、新規就農者や小規模農家に向いています。
例えば、トラクターを新品購入すると300万円以上かかるところを、レンタルなら1日2万円程度で利用可能。
特に「年に数回しか使用しない機械(コンバイン・田植え機)」は、レンタルの方が圧倒的にコストを抑えられるケースが多いです。
3.2 ランニングコストの違い
購入した農機具は、一度導入すれば自由に使えますが、維持管理や修理のコストが発生します。
項目 | レンタル | 購入(新品) | 購入(中古) |
初期費用 | ほぼなし | 高額 | 中程度 |
メンテナンス費 | なし | 必要 | 必要 |
保管場所 | 不要 | 必要 | 必要 |
使用頻度 | 低〜中(短期利用向き) | 高(毎日使う方向き) | 高(コスト重視なら中古) |
農機具の維持管理コスト(農林水産省)

購入した農機具は、使用頻度が高いほどコストメリットが大きくなりますが、メンテナンスや修理費用も発生します。例えば、トラクターのエンジンオイル交換やタイヤ交換などは年間数万円〜数十万円の出費になることも。
一方で、レンタルの場合はメンテナンス費用や保管場所の確保が不要なため、管理コストを削減できます。
3.3 使用頻度で選ぶ!レンタルと購入の適正ライン
農機具の使用頻度が低い場合は、レンタルの方がコストパフォーマンスが良くなります。一方、頻繁に使う農機具は、長期的に見ると購入の方が割安になることが多いです。
使用頻度 | レンタル推奨 | 購入推奨 |
年に数回 | 田植え機、コンバイン | × |
月に数回 | ドローン、大型トラクター | 小型トラクター |
週に数回 | × | 大型トラクター、大型機械 |
毎日 | × | 大型トラクター、管理機 |
3.4 補助金を活用すれば購入も現実的に
農機具の購入は高額ですが、国や自治体の補助金を活用すれば、コストを抑えられる可能性があります。
例えば、「農業機械導入補助金」を利用すれば、農機具購入費の最大50%が補助されるケースもあります。
購入を検討する場合は、補助金情報をチェックすることも重要です!
4 こんな場合はレンタルがおすすめ!

「農機具 レンタル」は、初期投資を抑えたい新規就農者や、特定の作業だけで機械を必要とする農家にとって、非常に有効な選択肢です。特に、高額な農機具を一括で購入するのが難しい場合や、保管スペースが確保できない場合は、レンタルを活用することで経営負担を軽減できます。
ここでは、農機具をレンタルするのが適しているケースを具体的に紹介します。
4.1 新規就農者で初期投資を抑えたい場合
農業を始めたばかりの新規就農者にとって、トラクターやコンバインなどの大型農機具をいきなり購入するのは、経営資金の大きな負担になります。
・農機具レンタルなら、初期投資を抑えながら農業をスタートできる
・購入前に試しながら、自分に合った機械を見極めることが可能
特に、トラクターや田植え機のような高額な機械は、最初はレンタルで試してみて、必要性が高いものだけを購入するのがおすすめです。
4.2 収穫や播種など、特定の時期だけ使う場合
コンバインや田植え機など、年に数回しか使用しない農機具は、レンタルの方が圧倒的にコストを抑えられます。
例えば、稲作農家の場合、コンバインの使用期間は年に1〜2ヶ月程度です。購入すると数百万円以上の投資になりますが、レンタルなら数万円〜数十万円で済みます。
・短期間の使用なら、レンタルの方がコスト効率が良い
・オフシーズンの保管場所やメンテナンス費用が不要
特に、小規模農家や兼業農家の場合、農機具を所有するメリットよりも、レンタルで必要なときに借りる方が経済的に優位になるケースが多いです。
4.3 最新のスマート農機具を試したい場合
近年、GPS搭載トラクターや農業用ドローンなど、スマート農機具の普及が進んでいます。しかし、これらの農機具は価格が高く、導入には慎重な判断が求められるため、まずはレンタルで試すのが有効です
・最新のスマート農機具を低コストで試せる
・実際の農場での使用感を確かめた後に購入を検討できる
ヤンマーのスマート農機レンタルサービス
4.4 農機具の保管スペースが確保できない場合
農機具を所有すると、倉庫やガレージなどの保管場所が必要になります。特に、大型のコンバインやトラクターは、しっかりとした保管環境がないと劣化が早まり、メンテナンスコストが増加します。
・レンタルなら、保管スペースを確保する必要がない
・農機具の老朽化や故障の心配が減る
農機具の保管とメンテナンスに関するガイド(クボタ)

特に、借りた農地で営農を行う場合は、機械の保管場所がないことが多いため、レンタルを利用する方が合理的です。
4.5 メンテナンスコストを抑えたい場合
農機具を購入すると、定期的なメンテナンスや修理費用が発生します。特に、中古農機具を購入すると、故障リスクが高く、思わぬ修理費用がかかることも。
・レンタルなら、故障やメンテナンスの心配が不要
・突発的な修理費用を避けられる
例えば、トラクターのエンジンオイル交換やタイヤ交換には年間で数万円〜数十万円の費用がかかることもありますが、レンタルならそのコストを削減できます。
5 こんな場合は購入がおすすめ!
「農機具 レンタル」は便利ですが、長期的なコストや利便性を考えると、購入した方が経済的な場合もあります。 特に、頻繁に使用する農機具や、カスタマイズが必要な機械は、購入することでより効率的に運用できる可能性があります。
本章では、農機具を購入するのが適しているケースを詳しく解説します。
5.1 使用頻度が高く、長期的なコストを抑えたい場合
毎日のように使用する農機具は、長期的に見てレンタルよりも購入の方がコストメリットが大きくなります。
例えば、トラクターや管理機のような機械は、1日あたりのレンタル費用が高いため、頻繁に使用する場合はレンタルよりも購入した方が圧倒的に安くなることが多いです。
・週に数回以上使用する農機具は、購入した方がコストパフォーマンスが良い
・長期間使う場合は、レンタル費用よりも購入費用の方が安くなる
5.2 自分の農業スタイルに合った農機具を使いたい場合
レンタルでは、基本的に標準仕様の農機具しか借りられません。
一方、購入すれば、自分の農業経営に合わせたカスタマイズが可能になります。
・作物や土壌に適した農機具を選べる
・自分の使いやすい仕様に調整できる(アタッチメント変更など)
・レンタルでは入手できない特殊機械も利用可能
例えば、有機農業や特定の作物に特化した農業を行う場合、標準仕様の農機具ではなく、より効率的に作業できる専用機材を購入する方が適しています。
特殊仕様トラクタ特集(クボタ)

5.3 大規模経営や法人化している場合
農業法人や大規模経営の農家では、レンタルよりも購入の方がメリットが大きいことがほとんどです。
・長期的に使うことでコスト回収がしやすい
・農機具の所有権があるため、自由に使用・管理できる
・減価償却で経営コストを調整可能(法人経営の場合)
法人化した農業経営では、農機具の購入費用を減価償却しながら経営計画に組み込むことができるため、資産価値を持つ機械の購入が有利になります。
農業機械の減価償却制度(国税庁)
5.4 農機具を長期間安定して使いたい場合
レンタルの場合、利用できる機械が常に確保できるとは限りません。特に、繁忙期(収穫時期など)は希望する機械が予約できないリスクもあります。
・いつでも確実に使用できる
・必要なときにすぐ作業を開始できる
例えば、収穫作業を行う時期に、レンタルが埋まってしまっていると、作業が遅れるリスクがあるため、確実に使える機械を所有している方が安心です。
5.5 補助金を活用すれば、購入コストを大幅に削減できる
農機具は高額ですが、国や自治体の補助金を活用すれば、購入費用を大幅に削減することが可能です。
例えば、農業機械導入補助金では、以下のような支援が受けられます。
・スマート農機具(GPSトラクター・ドローン)導入費の最大50%補助
・環境負荷低減型農機具の購入補助
特にスマート農機具は、補助金を活用することで、レンタルよりも実質的な負担額を抑えて購入することが可能になります。
6 まとめ

農業経営において、「農機具 レンタル」と「農機具 購入」のどちらを選ぶべきかは、経営規模や使用頻度、資金計画によって大きく異なります。
最後に、「レンタルがおすすめのケース」と「購入がおすすめのケース」を整理し、適切な選択のためのチェックポイントを紹介します。
状況 | レンタル向き | 購入向き |
初期費用を抑えたい | ◯ | × |
使用頻度が少ない | ◯ | × |
最新の農機具を試したい | ◯ | × |
メンテナンスや保管が大変 | ◯ | × |
長期間にわたって利用したい | × | ◯ |
自分仕様の農機具を使いたい | × | ◯ |
事業規模が大きく法人化している | × | ◯ |
補助金を活用できる | × | ◯ |
農機具の導入方法には「レンタル」と「購入」の2つの選択肢があり、それぞれの特性を理解し、自分の農業スタイルに合った方法を選ぶことが重要です。
レンタルは、初期投資を抑えたい新規就農者や、使用頻度の低い農機具を効率的に活用したい場合に適しています。 また、最新のスマート農機具を試したい場合や、メンテナンスや保管の負担を減らしたい農家にもメリットがあります。
一方で、購入は、長期的に使用することでコストを抑えられ、農機具を自由にカスタマイズできる点が魅力です。 特に、頻繁に使用する機械や大規模経営を行う場合は、購入することで経営の安定化につながります。また、補助金を活用することで、購入時の負担を軽減することも可能です。
どちらを選ぶかは、農業経営の規模、使用頻度、資金計画に応じて判断することが大切です。 レンタルと購入のメリットをうまく活かし、最適な方法で農業経営を進めていきましょう。