1. はじめに|見た目は派手でも、スイスチャードは意外と育てやすい!

赤・黄・オレンジなど、茎の色がカラフルで目を引くスイスチャード。
一見すると「育てるのが難しそう」と思われがちですが、実はこの野菜、とても丈夫で“ほったらかし栽培”にも向いていることをご存じでしょうか?
スイスチャードは、ビーツの仲間でありながら、根ではなく葉と茎を食べるタイプの葉物野菜です。
見た目が華やかでおしゃれな印象があるため、家庭菜園では敬遠されがちですが、実は暑さ・寒さに強く、環境への適応力が高いという隠れた育てやすさを持っています。
また、一度植えれば次々に葉が伸びてきて、外側から収穫すれば何度も繰り返し楽しめる「不断草(ふだんそう)」とも呼ばれる野菜です。
肥料も特別に与える必要はなく、毎日のお世話もほとんど不要。水やりさえ気をつければ、プランターや庭の片隅で気づいたらグングン育っているような、まさにズボラ向けの優秀野菜なんです。
この記事では、そんなスイスチャードを「できるだけ手間をかけずに育てたい」という方に向けて、ほったらかしでも楽しめる栽培方法や注意点、実際の育て方のステップをわかりやすく紹介していきます。
家庭菜園初心者でも安心して育てられる“カラフルな万能野菜”、スイスチャード。
その魅力と手軽さを、ぜひこの機会に体感してみてください。

2. スイスチャードってどんな野菜?ズボラ栽培に向いている理由
スイスチャードは、ヒユ科の野菜で、ビーツと同じ仲間にあたります。
ただし、ビーツのように根を太らせるのではなく、カラフルな葉柄(茎)と葉を食べる葉物野菜として親しまれています。
日本では「不断草(ふだんそう)」や「西洋ふだん草」とも呼ばれ、昔から家庭菜園や畑で地味に育てられてきた、意外と身近な存在です。
最大の魅力は、何といっても見た目の華やかさと育てやすさのギャップ。
赤・黄色・オレンジ・ピンクなどの色とりどりの茎が料理の彩りにぴったりで、サラダや炒め物に加えるだけで一気に映える野菜です。
一見、育てるのが難しそうに見えますが、実はとても丈夫で、暑さや寒さに強く、多少環境が悪くても元気に育ちやすいという特性があります。
また、スイスチャードは耐病性が高く、虫もつきにくいのも嬉しいポイント。農薬を使わなくても比較的育てやすく、初心者でも失敗しにくい野菜です。
そして、名前の由来でもある「不断草」という言葉が示すように、一度育ち始めると長期間にわたって次々と葉を出し続けるのが特徴です。
収穫のたびに株元を残しておけば、次々に新しい葉が伸びてくるため、こまめに手入れをしなくても自然と育っていくという理想的なサイクルが生まれます。
- 「毎日世話をする時間はないけど、何か育ててみたい」
- 「ベランダにちょっとした彩りが欲しい」
- 「見た目にも楽しくて、料理に使える野菜がほしい」
そんな方にこそおすすめなのが、スイスチャードなのです。
3. スイスチャードの育て方ステップ【初心者向けにやさしく解説】

スイスチャードは、見た目の華やかさとは裏腹に、非常に育てやすい野菜です。
ここでは、初心者やズボラさんでも失敗しにくい“ほったらかしスタイル”での育て方を、5つのステップに分けて丁寧にご紹介します。
ベランダ菜園や庭のすき間で手軽に始められるので、家庭菜園デビューにもおすすめですよ。
スイスチャードは発芽率が高く、丈夫な性質を持つため、種からの栽培でも十分成功しやすい野菜です。
園芸初心者にとって種から育てるのはややハードルが高く感じられるかもしれませんが、スイスチャードの場合は直播き(直接プランターや畑にまく)でも問題なく発芽します。
春先(3〜5月)や秋口(9〜10月)が種まきに適していますが、比較的温暖な地域では長い期間育てることが可能です。
ホームセンターやネットショップで「スイスチャード」または「不断草(ふだんそう)」として種が販売されているので、まずは少量からでもチャレンジしてみましょう。
苗から育てる場合も、同じ時期に流通していることがあります。
スイスチャードは、特別な土を用意しなくてもよく、市販の「野菜用培養土」でじゅうぶん育てられます。
やや湿り気のある土を好みますが、極端な過湿や水はけの悪さを除けば、わりと土質を選ばず育ってくれるのが魅力です。
容器は深さ20cm以上のプランターや植木鉢でOK。根が比較的浅く、横に広がるタイプなので、広さ>深さを意識したサイズ選びがおすすめです。
また、庭にスペースがある方は地植えでも育てられますが、手入れや水やりの手間を減らしたいならプランター栽培が断然ラクです。

スイスチャードは日当たりを好むものの、半日陰や明るい日陰でも元気に育つ、順応性の高い野菜です。
特に夏場の直射日光が強すぎる場所では、葉が硬くなったり色あせたりすることがあるため、午前中だけ日が当たる場所や明るいベランダの壁際などが最適です。
日陰でも育てられるという特徴は、ほかの野菜が育ちにくいスペースでも有効活用できるという意味で、ズボラガーデナーにとって嬉しいポイントです。
発芽までには5〜10日ほどかかりますが、一度芽が出たらぐんぐん育っていきます。
育苗や間引きといった手間も、最初から広めに種をまいておけば最低限で済みますし、間引きを「ベビーリーフの収穫」として楽しむことも可能です。
毎日の水やりも、「乾いたらたっぷり」が基本。朝の1回だけで十分な場合も多く、水切れにだけ注意しておけば特別な管理は必要ありません。
さらに、肥料も基本的には不要。植え付け時に元肥入りの土を使っていれば、追肥なしでもそこそこのサイズに育ちます。
もし生育が極端に遅いと感じたときは、液体肥料を薄めて月に1回程度与えるだけで十分です。

スイスチャードは一度植えると数ヶ月以上収穫が続く「摘み取り型野菜」です。
外側の大きくなった葉から順にハサミで収穫していけば、株の中心部から次々と新しい葉が伸びてくるため、何度でも楽しめるのが魅力です。
収穫は、草丈15〜20cm前後から可能。ベビーリーフとして若採りするもよし、大きく育てて存在感のある付け合わせにするもよし。
色とりどりの茎が料理を華やかにしてくれるので、見た目の楽しさも含めて収穫が待ち遠しくなります。
家庭菜園に挑戦してみたい方へ|シェア農園という選択肢
「野菜や果物を育ててみたいけど、庭や畑がない…」
そんな方には、区画を借りて野菜を育てられる“シェア農園“がおすすめです。
必要な道具も揃っていて、栽培のアドバイスを受けられる農園もあるので、初心者でも安心して始められますよ。
4. 放任でも育てやすい!ほったらかし栽培のポイント

スイスチャードは丈夫で適応力が高く、「育てる手間が少ない野菜」として人気がありますが、ちょっとした工夫を加えることで、さらに手間を減らし、より快適に育てることができます。
ここでは、ズボラ派・忙しい方向けに、“ほったらかし”でもうまく育てるための具体的なポイントを紹介します。
① 水やりの回数を減らすなら「底面給水」スタイルに
水切れはスイスチャードにとってストレスですが、毎日きっちり水やりするのが難しい方も多いはず。
そんなときは、プランターの下に受け皿を置き、そこに常に水をためておく「底面給水スタイル」がおすすめです。
根が下から水を吸い上げてくれるので、表土が乾いていても安心。
旅行中や忙しい日が続いても、水切れのリスクをぐっと減らせます。
② 肥料を忘れても大丈夫な土を選ぶ
こまめな追肥が面倒な人は、元肥入りの野菜用培養土を使えば、最初に植えるだけで数週間は肥料なしでもしっかり育ちます。
追肥をしなくても育つスイスチャードの特性を活かして、肥料は“気が向いたときだけ”でも十分です。
「育ちが悪いかも…」と思ったら、液体肥料を水やりのついでに混ぜる程度でOK。
構えずに、感覚で付き合えるのがこの野菜の良さです。

③ 間引き=収穫。手入れの手間もカットできる
密集して育ってくると「間引きが必要」と思われがちですが、スイスチャードの場合は間引く=食べる、という一石二鳥のスタイルが基本です。
葉が混み合ってきたら、小さい葉や密集した場所を間引きがてらベビーリーフとして収穫しましょう。
この「食べながら整える」サイクルが、ズボラ家庭菜園ととても相性が良いポイントです。
④ 半日陰でもOK!場所を選ばない順応性がうれしい
スイスチャードは強い日差しにもある程度耐えますが、半日陰〜明るい日陰でも元気に育つため、置き場所の自由度が高いのも大きな魅力です。
たとえば、
- 北向きのベランダ
- 午前中だけ日が当たる場所
- 木漏れ日のある庭のすき間
こうした“ほかの野菜では育てにくい環境”でも問題なく育ってくれるので、家庭菜園の可能性がぐっと広がります。
⑤ 花が咲く前にどんどん食べよう
気温の上昇とともにスイスチャードがとう立ち(花芽をつける)することもあります。
こうなると葉が硬くなり風味も落ちるので、柔らかくて美味しい時期を逃さず、こまめに収穫することが最大の手入れになります。
迷ったら「とりあえず食べる」。これが最大のズボラ流栽培術です。
スイスチャードは「育てなきゃ」と気を張らなくても、ちょっとした気配りだけで元気に育ち、どんどん食べられる便利な野菜です。
5. 注意点|さすがに放置しすぎるとこうなる…
スイスチャードは「ほったらかし栽培」ができるほど丈夫な野菜ですが、“完全に忘れるレベルの放置”となると、さすがに不調をきたします。
ここでは、ありがちなズボラ栽培の失敗例と、それを防ぐちょっとした気配りについてお伝えします。
水切れでしおれてしまう
スイスチャードは乾燥に比較的強い方ですが、土が完全にカラカラになると葉がしおれ、元気がなくなってしまいます。
特にプランター栽培の場合は土の量が限られているため、真夏などは朝晩2回の水やりが必要な日も。
対策
・土の表面が乾いていたら水をたっぷり
・底面給水できる受け皿つきプランターを活用
・西日の強い場所は避け、風通しの良い半日陰へ移動
葉が密集しすぎて蒸れ・害虫の原因に
「間引き=収穫」で管理できるのがスイスチャードのよいところですが、収穫せずに放置しすぎると葉が混み合い、風通しが悪くなります。
すると、ナメクジやアブラムシなどの害虫が発生しやすくなったり、葉が黄色く変色したりすることも。
対策
・小さなうちにこまめに収穫
・外葉を優先的にカットして株の中心を守る
・風通しの悪い場所では株数を減らして育てるのも手

育ちすぎると葉がかたくなる
大きく育てすぎた葉は、茎が筋張ってかたくなり、食感や風味が落ちてしまいます。
また、時間が経つと茎が木質化し、調理しても硬さが残ることもあります。
対策
・葉の長さが15〜25cmほどになったら収穫のタイミング
・ベビーリーフサイズでも美味しいので早めに収穫を
・固くなった葉は炒め物など加熱調理向けに活用

とう立ち(花芽が出る)すると葉が硬くなる
春〜初夏にかけての気温上昇や、栽培後期になると、スイスチャードは“とう立ち”して花芽をつけることがあります。
こうなると葉はかたく、えぐみが強くなり、食用には向かなくなります。
対策
・長く楽しむには、こまめな収穫で若葉を更新する
・とう立ちが始まったら株ごと撤去し、新たに種まきや苗植えを
スイスチャードは本当に手がかからない優等生ですが、何もせずに育てるだけでは、そのポテンシャルを最大限には引き出せません。
こまめに収穫して食べることで、見た目も味も良好な状態が保てますし、料理の彩りとしても重宝します。
“放任”と“放置”はちょっと違う。
ほんの少しの気配りを添えることで、「ズボラでもちゃんと育つ野菜」として最大限楽しめるのがスイスチャードなのです。
6. まとめ|カラフル野菜も“ズボラ栽培”でOK!
スイスチャードは、その色鮮やかな見た目から「育てるのが難しそう」と思われがちですが、実はとても育てやすく、ほったらかしでも収穫できる家庭菜園の優等生です。
日当たりや肥料にそこまで気を使わなくても育ち、手間がかからないのに、しっかりと食卓に彩りと栄養をもたらしてくれる――そんなバランスの良さが、多くの家庭菜園ファンから支持されている理由です。
発芽も早く、外葉を少しずつ収穫していけば長く楽しめるうえ、茎も葉も無駄なく使えて料理の幅も広がる。
見た目が華やかで、育てるだけで気分が明るくなるのもスイスチャードならではの魅力です。
もちろん、完全に放っておいてよいわけではありませんが、「とりあえず水だけあげていればOK」「食べながら間引きすれば手入れいらず」といったズボラ向きの管理スタイルでもじゅうぶん成果を出してくれるのは、他の野菜にはなかなかない特性です。
家庭菜園を始めたいけど、時間も知識もない…。
そんな方こそ、まずはこのスイスチャードからスタートしてみてはいかがでしょうか?
少ない手間で、大きな楽しみが得られる野菜として、きっとあなたの菜園ライフを明るく、ゆるっと豊かにしてくれるはずです。
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