1. はじめに|モロッコいんげんは家庭菜園にぴったりの「大きくてやわらかい豆」

「家庭菜園でもう少し育てがいのある野菜を育ててみたい」
そんな方におすすめなのが、モロッコいんげんです。通常のいんげんよりもさやが大きく、肉厚なのに驚くほどやわらかい食感が魅力で、炒め物や煮物、天ぷらなど、幅広い料理に活用できる万能野菜です。
さらにモロッコいんげんは、つるありタイプの豆類の中でも特に栽培しやすく、丈夫でたっぷり収穫できるのが特長。支柱やネットを使えば狭いスペースでも縦に育てられるため、プランター栽培にも向いています。
初心者でも失敗しにくく、育てる楽しさ・収穫の喜び・食べる満足感の三拍子がそろった野菜。それがモロッコいんげんです。
この記事では、家庭菜園でモロッコいんげんを元気に育てて、たっぷり収穫するためのコツや注意点を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
育てておいしい、実用性抜群のモロッコいんげんに、ぜひチャレンジしてみましょう。

2. モロッコいんげんの基本情報と栽培カレンダー
モロッコいんげんは、さやいんげんの仲間で、幅広くて平たいさやが特徴のつる性の豆類です。一般的な丸いんげんに比べて肉厚で、加熱してもやわらかく、ほんのり甘みがあって食べやすいのが魅力です。家庭菜園で育てれば、スーパーではなかなか手に入らない採れたてのシャキッとした食感と香りを楽しむことができます。
2-1. モロッコいんげんの基本データ
項目 | 内容 |
---|---|
分類 | マメ科/一年草 |
タイプ | 主に「つるあり種」だが、稀に「つるなし」もあり |
草丈 | 約150~200cm(つるありの場合) |
さやの長さ | 約15~20cm(平たく大ぶり) |
味の特徴 | やわらかくて筋が少なく、甘みがある |
おすすめ料理 | 炒め物、煮物、天ぷら、胡麻和えなど幅広く使える |
2-2. 栽培スケジュール(関東以西の目安)
作業 | 春まき | 秋まき(温暖地のみ) |
---|---|---|
種まき | 4月中旬~6月上旬 | 8月下旬~9月中旬 |
発芽適温 | 20~30℃ | 同上 |
収穫時期 | 6月~7月(春まき) | 10月頃(秋まき) |
栽培期間 | 約60~70日 | 約50~60日 |
※寒冷地では春まきがおすすめ。秋まきは霜が降りる前に収穫を終える必要があります。
モロッコいんげんは、生育が早くてつるも勢いよく伸びるため、初心者でも栽培の達成感を味わいやすい野菜です。
次の章では、実際に育てるために準備すべきものと、それぞれのポイントをご紹介します。
3. 栽培に必要なものを準備しよう

モロッコいんげんは比較的育てやすい野菜ですが、植え付け前に基本的な道具や資材をそろえておくことで、よりスムーズに栽培を始めることができます。ここでは、プランター栽培・地植え栽培のどちらでも共通して役立つ準備物を解説します。
① 種(品種選び)
モロッコいんげんには複数の品種がありますが、「つるありタイプ」が主流で、収穫量も多くなります。
家庭菜園初心者には「発芽率が高く、生育旺盛」などの記載がある品種を選ぶのがおすすめです。
※秋まきをする場合は、短期間で育つ「早生(わせ)品種」を選ぶと安心です。
② プランターまたは畑(栽培場所)
- プランター栽培:深さ30cm以上・幅60cm以上が目安。1株あたりのスペースを確保するため、1プランターに2〜3株までにすると育ちが良くなります。
- 地植え栽培:日当たり・水はけの良い場所を選び、畝幅60〜70cm、株間20〜30cmで植え付けましょう。
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③ 支柱・ネットなどのつる用設備
モロッコいんげんはつる性のため、生長に応じて支柱やネットで誘引する必要があります。
- あんどん型や斜め支柱
- 園芸ネット(高さ150〜180cm程度)
などを準備し、風で倒れないようしっかり固定することがポイントです。
④ 土と肥料
- 土:市販の「野菜用培養土」でOK。地植えの場合は、植え付け2週間前に石灰をまいて中和し、堆肥を混ぜてよく耕しておきましょう。
- 肥料:元肥には緩効性肥料を、栽培中は実がつき始めたタイミングで追肥を行うのが基本です。
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農園はもちろん、家庭菜園・ガーデニング・ベランダ園芸など、植物を育てるすべての方におすすめです。


⑤ その他の基本アイテム
- じょうろ(シャワータイプが便利)
- 園芸用ハサミ(収穫時に使用)
- 手袋(作業時の保護用)
- ネームプレートやラベル(栽培記録用にあると便利)
これらの準備をしておけば、モロッコいんげんの栽培はスムーズにスタートできます。
4. モロッコいんげんの育て方【5ステップで解説】

モロッコいんげんは、比較的育てやすい野菜ですが、育ちが旺盛なぶん、生長のスピードに合わせた管理が大切です。ここでは、初心者の方でも迷わず栽培できるように、種まきから収穫までの流れを5ステップで丁寧に解説します。
モロッコいんげんの栽培は、基本的に直播き(じかまき)がおすすめです。これは根が真っ直ぐに伸びる「直根性」タイプのため、植え替えによるダメージを受けやすいからです。
- 種まきの適期は、春まきなら4月中旬〜6月上旬、秋まきなら8月下旬〜9月中旬(温暖地)が目安です。
- 日当たりと水はけの良い場所を選び、プランターや畑に深さ2〜3cmの穴をあけ、1か所に2〜3粒ずつ種をまきます。
- 土を軽くかぶせて、たっぷり水やりをしましょう。発芽までは土の表面が乾かないよう毎日チェックすることが大切です。
発芽適温は20〜30℃なので、気温が安定しないうちは、ビニールや不織布で軽く覆うのも効果的です。
種をまいてから5〜7日ほどで発芽し、本葉が2〜3枚になるころには間引きのタイミングです。1か所に複数の芽が出た場合は、元気な1本を残して他は間引きましょう。
つる性のモロッコいんげんは、早い段階でつるが伸び始めるので、支柱やネットの準備はこの時点で完了させておくとスムーズです。
- つるが出たら、ネットや支柱にやさしく誘引します。つるは自然に巻き付きますが、誘引が遅れると絡まってしまうことがあるため、こまめに様子を見て整えましょう。
モロッコいんげんのつるはとても勢いよく伸びます。放っておくと、支柱からはみ出したり、風で倒れてしまう可能性があるため、早めに強度のある支柱やネットを設置しておくことが重要です。
- プランターの場合はあんどん支柱(円形の支柱)や斜め支柱+園芸ネットの組み合わせがおすすめ。
- 地植えならU字型の支柱にネットを張る方法が使いやすく、管理もラクです。
- つるが絡みにくい場合は、麻ひもなどで軽く固定すると風でも安定します。
また、葉が混み合ってきたら風通しを良くするために下葉を軽く整理するのも、病気予防につながります。
モロッコいんげんは育ちが早く、花や実をつける頃にはたくさんの栄養を必要とします。
- 最初に与える元肥は植え付け時にしっかりと。
- 本葉が5〜6枚出たころと、花が咲き始めた頃に追肥を行いましょう。
- 追肥は株元から少し離した場所に化成肥料をまき、軽く土と混ぜるのが基本です。
水やりについては、
- プランター栽培なら、土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。
- 地植えは雨まかせでOKですが、開花時期や乾燥が続く時期は水切れに注意。実が大きくなる時期に水分が不足すると、さやが硬くなったり、形が悪くなったりします。
花が咲いてから10〜15日ほど経つと、さやが15〜20cm程度に育ち、ふっくらとした状態になります。この頃がベストな収穫時期です。
- 収穫の目安は、手で軽く押して中の豆の膨らみがわかるくらい。
- 大きくなりすぎると筋が硬くなってしまうため、早めにこまめに収穫するのがポイントです。
収穫は、朝の涼しい時間帯に清潔なハサミで切るのがベター。手で引っ張るとつるを傷つけてしまうことがあるので注意しましょう。
5. たっぷり収穫するためのコツ

5-1. 日当たりをしっかり確保する
モロッコいんげんの収穫量を左右するもっとも基本的なポイントが「日当たり」です。十分な日光を浴びることで光合成が活発になり、つるの成長だけでなく、花つき・実つきも良くなります。
地植えなら、日陰になりにくいスペースを選びましょう。プランター栽培の場合は、季節や太陽の角度に合わせて鉢の向きを変えるなどして、株全体にまんべんなく日が当たるよう工夫することが大切です。
5-2. 花が咲いたら水切れに注意
実を大きく育てるうえで、水分管理も重要なポイントです。特に花が咲いてから実がつく時期は、水分を切らすと実が曲がったり、育ちが悪くなったりする原因になります。
夏場は朝や夕方の涼しい時間帯に水やりを行い、日中の高温による蒸れや乾燥を防ぐよう心がけましょう。ただし、水をやりすぎると根腐れを起こすことがあるため、土の表面が乾いてから与える「メリハリのある水やり」が理想です。
5-3. 肥料は「ほどほど」がカギ
たくさん収穫したいからといって、肥料を過剰に与えてしまうのは逆効果です。葉ばかりが茂って実がつかなくなる「つるぼけ」の原因になることがあります。
肥料は、花が咲き始めた頃からリン酸を多く含むタイプを、少量ずつ2〜3週間おきに与えると、花や実のつきが安定しやすくなります。元肥をしっかり入れている場合は、過剰にならないよう量を控えめに調整するのがポイントです。
5-4. 実はこまめに早めに収穫する
モロッコいんげんは、さやが大きくなりすぎると株に負担がかかり、次の花芽や実がつきにくくなってしまいます。そのため、収穫は「早め・こまめ」を心がけましょう。
特に意識しておきたいのは次のポイントです:
- 実が15〜20cmになったら収穫のタイミング
- 大きくなりすぎる前にハサミで切る
- 毎日チェックして、実の取り逃しを防ぐ
株の負担を軽減することで、より長い期間、安定した収穫を楽しめます。
5-5. つると葉の整理で風通しを確保する
つるが支柱やネットに絡まず垂れていたり、葉が混み合っていたりすると、光が株全体に届きにくくなり、蒸れや病気の原因にもつながります。風通しが悪いと、特に梅雨時期にはうどんこ病などの病気を招きやすくなるため注意が必要です。
生長に合わせてつるを支柱に巻きつけ直したり、不要な葉や傷んだ葉を剪定することで、空気の流れと日光の通り道を確保しましょう。
6. 栽培中に起こりやすいトラブルと対策

モロッコいんげんは家庭菜園初心者にも育てやすい野菜ですが、育成中にはいくつかのトラブルが発生することもあります。特に日照、水やり、風通しなどの環境条件が適切でないと、見た目や味に影響が出たり、株自体が弱ってしまうことも。ここでは、よくある症状とその原因、そして具体的な対処法を解説します。
6-1. 葉が黄色くなる/元気がない
葉が黄色くなったり、株全体がしおれて見える場合は、水分・栄養・根の状態など、複数の原因が考えられます。特にプランター栽培では根詰まりや排水不良によるストレスが起こりやすく、注意が必要です。
対策:
・水やりの頻度を見直し、乾いてからたっぷり与える
・プランターの場合、根詰まりしていないか確認し、必要なら植え替え
・肥料の与えすぎ・不足を確認して、バランスの取れた追肥を行う
・土壌の通気性が悪い場合は、腐葉土やパーライトを混ぜて改良

6-2. 実が曲がる/育ちが悪い
さやがまっすぐ育たず、曲がったり小さく育たなかったりする場合は、主に栄養不足や日照不足、水切れなどが影響しています。特に実の肥大期に十分な水と光が確保されていないと、形が不揃いになります。
対策:
・日当たりの良い場所に移動または枝を整理して光を確保
・実の付き始めに水をしっかりと与える(乾燥注意)
・チッソが多すぎる肥料を避け、リン酸を含んだ肥料に切り替える

6-3. 害虫(アブラムシ・ハモグリバエなど)
葉や茎にアブラムシが集まったり、葉の中に白いスジができる場合は、害虫の被害です。放っておくと株が弱るだけでなく、病気の原因にもなります。
対策:
・アブラムシは見つけ次第、指でつぶすか牛乳スプレーで駆除
・被害が広がっている場合は、市販の無農薬タイプの殺虫剤を使用
・ハモグリバエの被害葉は早めに切り取り、処分
・栽培初期から防虫ネットを活用し、物理的に侵入を防ぐ

6-4. うどんこ病・立枯病などの病気
葉に白い粉のようなカビが見られるうどんこ病、株元から突然しおれて倒れる立枯病などの病気も発生することがあります。特に風通しが悪く湿度が高いと、病原菌が繁殖しやすくなります。
対策:
・混み合った葉をこまめに剪定し、風通しを確保
・うどんこ病の初期は、被害葉の除去とベーキングソーダ水などの自然派スプレーで対応
・症状が進行している場合は、園芸用殺菌剤を使用
・立枯病予防には、同じ場所での連作を避け、輪作を心がける
6-5. 花が咲いても実がつかない
花は咲いているのに実がならない場合、いくつかの原因が考えられます。もっとも多いのは「つるぼけ」と呼ばれる栄養の偏りで、チッソ過多や日照不足が背景にあることが多いです。また、風のない日や室内では受粉がうまくいかず、花が落ちてしまうこともあります。
対策:
・肥料を控えめにして、リン酸・カリ重視の肥料に切り替える
・つるや葉が茂りすぎている場合は、剪定して光を取り込む
・開花時に手で花を軽く揺らして人工授粉をサポート
・気温差が激しい時期は、防寒・防暑をして株へのストレスを軽減
このように、栽培中のトラブルは決して珍しいことではありませんが、日々の観察と早めの対応によって防げるものがほとんどです。異変に気づいたときは、土・水・光・風通しの4つの環境要因を一度見直してみましょう。
7. まとめ|手軽に育てて、たっぷり収穫!モロッコいんげんで家庭菜園をもっと楽しく
モロッコいんげんは、見た目のインパクトとは裏腹に、初心者でも育てやすく、栽培の楽しさと収穫の喜びをたっぷり味わえる優秀な野菜です。つるありタイプならではの成長の勢いと、驚くほどやわらかくて甘みのあるさやは、まさに家庭菜園向けの逸品。
種まきから収穫までの手順をきちんと押さえ、日当たりや水やり、支柱の管理といった基本を守れば、1株からでも驚くほどの収穫が期待できます。特に、こまめな収穫と風通しの確保は、長く楽しむための重要なポイントです。
自分で育てた野菜を、自分の手で収穫して、すぐに食卓へ。そんな日常を叶えてくれるのが、モロッコいんげんの魅力。
ぜひあなたの家庭菜園にも取り入れて、“育ててよかった”と感じられる一品にしてみてください。
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