1. はじめに

「春菊って、お鍋やおひたしでよく使うけれど、自分で育てられるのかな?」
そう思ったことはありませんか?実は春菊は、ベランダでも育てやすい葉物野菜のひとつ。特別な道具や広いスペースがなくても、プランターと市販の土があれば気軽に始められるんです。
さらに、春菊は成長が早く、種まきから約1か月〜1か月半で収穫できるのも魅力。うまく育てれば、何度も葉を切って長く楽しむこともできます。
「家庭菜園は初めてで心配…」「できるだけ失敗したくない!」という方にもぴったりな野菜です。
本記事では、そんな春菊をプランターで簡単に育てる方法を、初心者の方にもわかりやすくステップごとに解説します。必要な道具から、種まき・間引き・収穫のコツ、よくある失敗と対策まで、すべてこの1記事でばっちりカバー。
家庭菜園の第一歩として、手軽で香り豊かな春菊栽培を始めてみませんか?

2. 春菊ってどんな野菜?
春菊(しゅんぎく)は、日本の食卓ではおなじみの葉物野菜。特に冬場のお鍋には欠かせない存在ですよね。
その独特の香りとほろ苦さは好みが分かれるところでもありますが、好きな人にはたまらない風味のアクセントになります。料理ではおひたしや炒め物、サラダにも使われ、和食をはじめ幅広いメニューに活用されています。
そんな春菊ですが、実はとても育てやすく、家庭菜園初心者にもぴったりな野菜のひとつ。
発芽がしやすく、病害虫にも比較的強いため、プランターでもぐんぐん育ちます。
必要な手入れは「間引き」と「適度な水やり」くらいで、種まきから約1か月で収穫できるスピード感も魅力的です。
2-1. 春菊の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
栽培時期 | 春(3〜5月)、秋(9〜10月) |
発芽温度 | 15〜20℃前後が適温 |
収穫までの目安 | 約30〜50日 |
日照条件 | 日当たりの良い場所を好むが、半日陰でもOK |
栽培の難易度 | ★☆☆(初心者向け) |
春まき・秋まきどちらでも楽しめますが、特に秋まきは虫の被害が少なく育てやすいため、はじめての方にはおすすめです。
2-2. 春菊にはどんな種類があるの?
一口に春菊といっても、実はいくつかの品種に分かれており、用途や栽培スタイルによって選び方を変えるとより楽しく育てられます。
中葉種(ちゅうようしゅ)
- 葉が細かく柔らかい
- 香りが強く、春菊らしさをしっかり楽しめる
- 切っても脇芽が伸びてくるため、繰り返しの収穫が可能
- 栽培期間も短めで、初心者やプランター栽培に最適!
大葉種(おおばしゅ)
- 葉が大きく、しっかりとした見た目
- 香りは中葉に比べるとややマイルドで、クセが少なめ
- 収穫時には一気にボリュームのある葉が取れるのが特徴
- スーパーなどでよく見かけるのはこちらのタイプ
株立ち型春菊(西洋種に近いものも)
- 草丈がやや高く、茎がしっかりするタイプ
- 一度に多くは採れないが、長期間にわたって育てやすい
迷ったら、再生力が高く長く収穫を楽しめる中葉種を選ぶとよいでしょう。香りもしっかりしており、“春菊らしさ”を家庭菜園で体感できます。
2-3. 栄養価の高い春菊を、自分で育ててみよう
春菊は見た目こそ素朴ですが、実は栄養価の高い健康野菜。
βカロテン(抗酸化作用)、カルシウム、鉄分、ビタミンC、葉酸などを豊富に含み、美容や免疫力アップにも嬉しい栄養素が詰まっています。
また、あの独特の香りにはリラックス効果があるとされ、自律神経を整える働きがあるとも言われています。
市販の春菊と違い、自宅で育てた春菊は収穫したての香りとみずみずしさが格別。
香りが強すぎると感じた方でも、若採りした柔らかい葉ならサラダ感覚で楽しめるなど、家庭菜園ならではの味わい方ができます。
2-4. 栽培に必要なものリスト
道具・資材 | 用途・ポイント |
---|---|
プランター | 春菊の根は浅めなので、深さ20cm以上・幅60cm前後が目安。長方形タイプが使いやすい。ベランダならプラスチック製が軽くておすすめ。 |
鉢底石 | プランターの底に敷いて排水性をよくするための石。なくても育つが、あったほうが根腐れ予防になる。 |
野菜用培養土 | 市販の「野菜用」と書かれた培養土でOK。ふかふかで排水性・通気性のあるものを選ぶと発芽率UP。肥料入りタイプなら元肥も不要。 |
春菊の種 | 春まき・秋まきの両方あり。中葉種がおすすめ(初心者向き・収穫期間が長い)。 |
じょうろ | 水やり用。シャワータイプの注ぎ口だと、発芽直後のやわらかい芽を傷つけにくい。 |
ハサミ | 収穫用。柔らかい葉を傷めないように、よく切れる園芸用ハサミがあると便利。 |
(あると便利)虫よけネット | 春まきの場合はアブラムシ・ヨトウムシなどの対策に。不織布や寒冷紗をかけるだけで虫害予防に◎ |
春菊は「密植」もOK
春菊は根が浅く、密集させて育てることができるため、プランター栽培にとても向いています。
少し狭めに種をまいても問題なく育ち、間引いた葉はベビーリーフとして食べられるので、無駄なく楽しめるのも魅力。
3. 春菊の育て方【ステップで解説】

春菊は発芽から収穫までの成長が早く、初心者にも失敗しにくい野菜です。
ここでは、プランターで育てる場合の手順を5ステップに分けて、やさしく解説していきます。
- プランターに鉢底石を敷き、野菜用培養土を入れます(プランターの縁から3〜5cm下まで)
- 表面を手で軽くならしたら、条まき(すじまき)またはばらまきで種をまきます
- 条まき:1cmほどの浅い溝を作り、そこに間隔をあけてまく
- ばらまき:土の表面全体にまんべんなくまく(ベビーリーフ感覚ならこれでOK) - まいたあとは、土をうすく(5mm程度)かぶせて軽く手で押さえ、やさしく水やりします
種をまきすぎると密集しすぎて生育不良になるので、ほどほどに。
発芽までの数日間は乾燥させないよう、土の表面がしっとりした状態をキープしましょう。
- 気温15〜20℃であれば、種まきから3〜5日ほどで発芽します
- 双葉が開いたら1回目の間引き(込み合っている部分の芽をハサミでカット)
- 本葉が2〜3枚になったら、2回目の間引きで最終的に株間5〜8cmを目安に調整します
間引いた葉はベビーリーフとして食べられます。
間引きのときは、根を引き抜かずにハサミで地際から切ると、他の株を傷めません。
- 春菊は過湿を嫌う野菜ですが、発芽~定着まではやや多めの水やりが必要
- 根づいてからは、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげる程度でOK
- 日当たりの良い場所で育てましょう(半日陰でも育つが、生育はややゆっくり)
水をあげすぎると根腐れの原因になるため、「乾いてからたっぷり」が基本です。
夏の直射日光が強い時期は、午後だけ日陰になるような場所に置くのがベスト。
- 元肥入りの培養土を使用している場合は追肥なしでもOK
- 生育が悪い・葉の色が薄いと感じたら、液体肥料を10日に1回ほど与えると◎
肥料を与えすぎると葉が硬くなったり、香りが弱まることも。ほどほどがコツです。
野菜・果実・米・茶・花・樹木と、すべての植物栽培にお使いいただける
天然植物活力液「HB-101」。
農園はもちろん、家庭菜園・ガーデニング・ベランダ園芸など、
植物を育てるすべての方におすすめです。
- 草丈が20〜25cmほどになったら収穫OK!
- ハサミで株元5cm程度を残して切り取ると、再び脇芽が伸びて収穫が続きます
- 若いうちにこまめに収穫すると、葉も柔らかく美味しく楽しめます
固くなる前にこまめに収穫するのが、おいしく長く楽しむコツ。
最後は花が咲く前にまとめて収穫し、次の栽培につなげましょう。
家庭菜園に挑戦してみたい方へ|シェア農園という選択肢
「野菜や果物を育ててみたいけど、庭や畑がない…」
そんな方には、区画を借りて野菜を育てられる“シェア農園“がおすすめです。
必要な道具も揃っていて、栽培のアドバイスを受けられる農園もあるので、初心者でも安心して始められますよ。
4. よくある失敗と対策
春菊は比較的育てやすい野菜ですが、それでも「知らないうちに失敗していた…」ということはよくあります。ここでは、初心者が特につまずきやすいポイントを、原因と対策をセットでわかりやすく解説します。
失敗①:芽が出ない(発芽しない)
春菊の種は小さくて軽いため、深くまきすぎると発芽しにくくなります。また、種まきの時期に気温が低すぎたり、土が乾燥している状態が続くと、芽が出る前に力尽きてしまうことも。さらに、種を一カ所にまきすぎると、密集して空気が通らず、窒息状態になってしまう場合もあります。
対策:
種は浅く(5mm程度)まき、軽く土をかぶせて手で押さえましょう。発芽には15〜20℃前後の気温と適度な湿度が必要なので、乾燥しすぎないように注意。発芽までは新聞紙や不織布などで軽く覆っておくのも効果的です。密集を避けるために、まきすぎには気をつけましょう。

失敗②:間引きを忘れて混み合う → 生育不良に
春菊は多少の密植には耐えますが、間引きをせずにそのまま育ててしまうと、日光や風が株に行き渡らなくなり、生育が悪くなることがあります。また、「せっかく芽が出たのに、もったいない…」という気持ちで間引けず、結果的に育ちが悪くなるのもよくあるケースです。
対策:
本葉が2〜3枚出たら、勇気を出して間引きましょう。最終的に株間5〜8cm程度を目安にすると、風通しが良くなり、健康に育ちます。間引いた若葉はベビーリーフとしてサラダやスープに使えるので、「もったいない」という気持ちも解消できますよ。
失敗③:葉が固くなって食べづらい
春菊は若いうちに収穫するのが美味しさのポイントですが、収穫のタイミングを逃すと、葉が大きくなりすぎて硬くなってしまいます。また、肥料を与えすぎることで葉の繊維が太くなったり、日照不足で成長にムラが出ることも、葉が固くなる原因です。
対策:
草丈が20〜25cmになったら、柔らかいうちに収穫するのが理想。肥料は控えめに、与える場合は10日に1回程度の液体肥料で十分です。プランターはできるだけ日当たりの良い場所に置き、光合成がしっかりできる環境を整えてあげましょう。
失敗④:虫がついた・葉が食べられた
特に春まきの時期は、アブラムシやヨトウムシなどの害虫が発生しやすくなります。葉の裏や株元に潜んでいて、気づかないうちに食害されてしまうこともあります。周囲に雑草が多いと、虫の発生源になることもあるため要注意です。
対策:
発芽後2週間ほどは、不織布や寒冷紗で覆って害虫の侵入を予防しましょう。アブラムシが見つかったら、牛乳スプレー(牛乳を水で1:1に薄めたもの)を吹きかける自然派の対策もおすすめです。普段から葉の裏や茎の付け根などを観察し、異変があれば早めに対応するのがポイントです。

失敗⑤:葉がしおれて枯れてしまった
葉がしおれてしまう原因は、水のあげすぎによる根腐れ、または水不足による乾燥ストレスのどちらかであることがほとんどです。特にプランター栽培では、土の量が限られているため、水分管理が難しくなりがちです。また、鉢の底に排水性がないと、水が溜まって根が腐りやすくなります。
対策:
水やりは「土の表面が乾いてからたっぷり」が基本。受け皿に水がたまったままにならないよう注意し、鉢底石を敷いて排水性を高めておきましょう。鉢の底に穴が詰まっていないかも定期的に確認を。乾燥しすぎる場合は、朝のうちに軽く水を足すだけでも回復することが多いです。
春菊は、ちょっとしたコツを押さえれば、家庭菜園初心者でも立派に育てられる野菜です。
失敗を恐れず、葉の様子や土の状態に少しだけ目を向けてみてください。毎日少しずつ育っていく様子を楽しむうちに、自然と育てるリズムが身についてきますよ。
5. 春菊をもっと楽しむ!ちょい足しアドバイス
春菊は、育てて終わりではありません。せっかくなら、育てる過程も、収穫後ももっと楽しんでみましょう!
ここでは、春菊栽培のちょっとした工夫や、家庭ならではの活用法をご紹介します。初心者の方でもすぐに取り入れられるものばかりなので、ぜひ気軽に試してみてください。
①収穫しながら育てる「摘み取り栽培」で長く楽しむ
春菊は、株ごと収穫してしまうよりも、少しずつ摘み取りながら育てる方が、長く収穫を楽しめます。
葉が20cmほどに育ったら、外側の大きな葉だけをハサミで切って収穫し、内側の若い葉は残しておくことで、何度も収穫できる「再生栽培」になります。
この方法なら、一度に大量の収穫を狙わず、必要な分だけ料理に使える“自家製ハーブ感覚”で楽しめます。
②間引き菜を捨てずにベビーリーフとして活用
間引いたばかりの小さな春菊の葉は、やわらかく香りもマイルド。
サラダやスープのトッピング、お味噌汁の具にぴったりです。特にサラダに加えると、ほんのり香りが立って味のアクセントに◎。
「間引き=捨てる」ではなく、「食べる前菜」として使えば、育てる楽しみも倍増します。
③コンパニオンプランツとして他の野菜と一緒に育てる
春菊には、キク科植物特有の防虫・抗菌効果があるとされており、一部の野菜と一緒に育てることで、虫よけや生育促進の相性が良いといわれています。
たとえば、
- 小松菜・チンゲン菜などのアブラナ科の野菜
- ネギやニラなど、香りの強い野菜
などと一緒にプランターに植えてみるのもおすすめです。省スペースを有効活用できるだけでなく、お互いの成長を助け合う関係が生まれます。

④収穫後の楽しみ方も広げてみよう
収穫した春菊は、お鍋やおひたしだけでなく、
- 生のままサラダに(若い葉が特におすすめ)
- ごま和えやナムルに
- チヂミ・かき揚げ・春巻きに入れても風味が引き立つ
など、調理の幅が意外と広いのも魅力です。市販品に比べて香りが強い自家製春菊は、シンプルな料理ほど違いが際立ちます。

⑤花を咲かせて観賞してみるのもアリ
収穫せずにそのまま育てていくと、春菊は可愛らしい黄色い花を咲かせます。
花の形はまさに“キク”そのもので、観賞用としても楽しめます。花が咲くと葉は固くなりますが、「最後に一輪、咲かせてみたい」という気持ちで残すのもおすすめです。
節約上手はもう始めてる!“賢い野菜サブスク“活用術
野菜をムダなく使い切りたい、食費を抑えたいという方には、自分に合った野菜サブスクの活用もひとつの方法です。
コスパやライフスタイルに合わせた選び方をまとめたガイドはこちら。

6. まとめ
春菊は、手軽に始められて、育てるのも難しくないうえに、収穫してすぐの香りや味わいは格別。
プランターひとつで育てられるため、ベランダ菜園やキッチン横など限られたスペースでも挑戦しやすい野菜です。
種まきから約1か月で収穫できるスピード感、再生収穫ができて長く楽しめるお得感、そして料理への使い勝手の良さ――。
春菊は、初心者がはじめて育てる葉物野菜としても、自信を持っておすすめできる存在です。
今回の記事では、
- 春菊の特徴と栽培の魅力
- プランターでの育て方ステップ
- よくある失敗とその対策
- 春菊をもっと楽しむ活用アイデア
までを一通り解説しました。
「家庭菜園、ちょっとやってみようかな」と思ったその気持ちを、ぜひ春菊から形にしてみてください。
毎日ちょっとずつ育っていく春菊の様子に、きっと癒されながら、おいしく実感できる野菜づくりがスタートするはずです。