1. はじめに|オリーブは“肥料の管理”で元気に育つ!

地中海の風景を思わせるシンボリックな見た目と、年中緑を保つ美しい葉。
そんな魅力から、オリーブは観葉植物としても人気が高く、家庭の庭やベランダでもよく見かけるようになりました。
しかし実際には、オリーブは“果樹”であり、きちんと実をつけさせるには適切な肥料の管理が欠かせない植物です。
「葉は茂るけれど実がならない」「元気がない気がする」――こうした悩みの多くは、肥料の時期・種類・量が合っていないことが原因になっているケースが少なくありません。
特に、鉢植えのオリーブは限られた土の中で栄養を吸収しているため、肥料切れや偏った栄養バランスによる不調が起こりやすい傾向にあります。
逆にいえば、肥料の与え方をしっかり理解することで、初心者でもオリーブを健康に育て、実を楽しめるようになるということです。
難しそうに思える施肥管理ですが、基本を押さえれば決して複雑ではありません。
これからオリーブを育てたい方も、育ててはいるけれど少し元気がない…という方も、ぜひ一度、肥料の見直しから始めてみてください。

2. オリーブの性質と肥料が必要な理由
オリーブは、地中海沿岸を原産とする常緑樹で、乾燥や強い日差しに強く、比較的育てやすい植物として知られています。そのため「丈夫で放っておいても育つ」というイメージを持たれがちですが、“実をつけたい”“長く元気に育てたい”という場合には、適切な肥料管理が欠かせません。
特にオリーブは果樹であり、実をつけるためには一定の栄養が必要です。
見た目が元気そうでも、栄養が不足していると花が咲かなかったり、咲いても結実しなかったりということがよく起こります。
また、葉は茂るのに実がつかない「つるぼけ」状態や、葉が黄色くなるといったトラブルも、肥料のバランスや施肥不足が原因になっているケースが多いのです。
さらに鉢植えの場合は、限られた土の中だけで養分をやりくりしているため、地植え以上に肥料切れを起こしやすい環境です。見た目に変化がなくても、気づかないうちに土の中では栄養が足りなくなっているということも珍しくありません。
一方で、与えすぎても根を傷めたり、葉ばかりが茂って実がならないという逆効果にもなりかねません。
つまりオリーブにとって肥料は、「多ければいい」ではなく、「タイミング・種類・量のバランス」が重要なのです。
適切な肥料管理を意識すれば、オリーブは葉も実も美しく育ち、年々その魅力を増していきます。
3. オリーブに合う肥料の種類と選び方

オリーブを健康に育て、花や実をしっかりつけさせるには、植物の性質に合った肥料を選ぶことがとても重要です。
肥料にはさまざまな種類がありますが、それぞれに特徴や向き不向きがあるため、オリーブに合ったものを選ぶことで栽培がぐっと楽になります。
3-1. 有機肥料と化成肥料、それぞれの特徴
肥料は大きく「有機肥料」と「化成肥料」に分けられます。
有機肥料(油かす・魚粉・鶏ふんなど)は、自然由来の成分で作られており、土をふかふかにしながらゆっくりと効くのが特徴です。オリーブのように長く育てる果樹には相性が良く、土づくりも兼ねたい場合や、より自然な栽培を目指す方におすすめです。

一方で、化成肥料は窒素・リン酸・カリウムなどの栄養素が明確な割合で配合されているため、即効性が高く使いやすいのがメリットです。
樹勢が弱っているときの回復や、鉢植えなど狭い環境で栄養コントロールをしたい場合に向いています。

3-2. 肥料の形状にも注目しよう
施肥のしやすさや持続効果は、肥料の形状によっても変わってきます。
- 粒状タイプ(緩効性):施す回数が少なくて済み、年2〜3回の基本施肥に最適。鉢植えにも地植えにも使いやすく、初心者に最もおすすめ。
- 液体肥料(速効性):すぐに効果が欲しいときや、葉色が悪い・生育が遅いときに効果的。鉢植えでの追肥や補助的な栄養補給に向いています。
- 有機ペレット・ぼかし肥料:有機派向け。においが気になる場合は、鉢栽培よりも地植え向きです。


3-3. 初心者は「オリーブ専用」または「果樹用」の表示をチェック
「どれを選べばいいかわからない」という場合は、パッケージに“オリーブ用”や“果樹用”と書かれているものを選ぶと失敗が少なく安心です。
これらの専用肥料は、窒素・リン酸・カリウムのバランスが“実付き・葉色・樹勢”に配慮して調整されており、さらに微量要素(カルシウム・マグネシウムなど)も配合されているものが多いのが特徴です。
特に、オリーブはカルシウムや鉄などの微量要素の不足にも敏感なため、バランスの取れた肥料選びが重要です。
4. 肥料を与えるベストな時期と頻度

オリーブは年間を通じて葉を保つ常緑樹ですが、成長や開花・結実に合わせて栄養を必要とするタイミングがはっきりしています。
この章では、初心者でも迷わず実践できる基本の施肥タイミングと頻度について、季節ごとにわかりやすく解説します。
4-1. 基本は年2〜3回が目安
オリーブに必要な肥料は、春・夏・秋の年3回をベースに考えるのが理想的です。
ただし、肥沃な土に地植えしている場合や肥料持ちの良い土壌では、春と秋の2回でも十分に育ちます。
逆に鉢植えの場合は栄養が切れやすいため、液体肥料や少量の追肥をプラスすることも検討しましょう。
【春(3〜4月)】新芽と花芽の準備に
冬の休眠期を終えて、オリーブが活動を再開する時期。芽吹きや花芽形成のために最も重要な施肥タイミングです。
- 緩効性の粒状肥料を与えて、ゆっくりと効かせる
- 地植えならこの1回で初夏までの栄養は十分
- 鉢植えなら、月1回の液体肥料を補助的に使うのも◎
【夏前(6〜7月)】実の肥大と葉の充実に
実が膨らみ始め、葉も旺盛に茂る時期。実の質やサイズ、葉の健康状態を左右する大切なタイミングです。
- 春の肥料が切れる頃なので、ここで2回目の施肥を
- カリウムや微量要素を含む果樹用肥料が特に効果的
- 真夏(8月)は高温で根が弱るので、肥料は控える
【秋(10月頃)】冬越しと翌年の花芽に向けて
実の収穫期〜落葉前にあたるこの時期は、冬に備えて体力を回復させ、翌春の開花準備を進める大事な施肥タイミングです。
- 根がまだ活動しているうちに緩効性肥料を与える
- 特に鉢植えは秋の追肥が翌年の成長に大きく影響する
- 遅くとも11月上旬までには済ませるのがベスト
4-2. 鉢植えの場合は追肥で補助を
鉢植えオリーブは、根の広がりが限られるぶん、栄養の消耗も早いのが特徴です。
基本の年3回の施肥に加えて、月1回程度の液体肥料(1000倍希釈)を水やり代わりに与えると、より安定して育てられます。
また、成長が止まりがちなときや、葉色が薄くなってきたときは、微量要素入りの葉面散布なども効果的です。
5. 肥料の適量と与え方|鉢植え・地植え別に解説
オリーブに肥料を与える際は、量が多すぎても少なすぎても逆効果です。
さらに、鉢植えと地植えでは根の広がり方や環境が大きく異なるため、適切な施肥方法も変わってきます。
ここでは、オリーブの栽培環境に応じた肥料の「量」と「与え方」を具体的に解説します。
5-1. 鉢植えオリーブへの施肥方法

鉢植えは土の量が限られており、肥料が効きすぎると“肥料焼け”を起こすリスクがあるため、控えめ&こまめな施肥が基本です。
【基本量の目安(1回あたり)】
- 小鉢(5号〜7号):5g〜10g程度の粒状肥料
- 大鉢(8号以上):15g〜20g程度
※商品ごとの使用量目安に従い、「規定量の7〜8割」で始めるのがおすすめです。
【与え方のポイント】
- 肥料は鉢の縁(株元から5〜10cm離れた場所)にぐるっと一周撒く
- 土に軽く混ぜ込み、そのあとしっかりと水を与える
- 液体肥料の場合は月1回、水やり代わりに与える
5-2. 地植えオリーブへの施肥方法

地植えでは土の量に余裕があるため、年2〜3回の緩効性肥料をしっかり与えるスタイルが基本になります。
【基本量の目安(1回あたり)】
- 樹高1m未満:30〜50g程度
- 樹高1〜2m:70〜100g程度
- 成木(2m以上):100〜150g以上
※こちらも使用肥料の成分比と濃度に応じて調整が必要です。
【与え方のポイント】
- 肥料は株元から30〜50cmほど離れた場所にリング状に撒く(“根の先端”を狙うイメージ)
- 軽く土をかぶせておくと、雨や水やりで自然に土に馴染みやすくなる
- 施肥後はしっかりと水を与えることで吸収効率アップ
5-3. 施肥時の注意点
- 高温期(真夏)や極寒期には施肥を避ける:根が弱っており、吸収効率が落ちるため逆効果に
- 施肥後はしっかりと水を与える:水とともに肥料分が土に浸透し、根に届きやすくなる
- 元肥と追肥のバランスを意識する:元肥を多く与えすぎると、後の調整が難しくなります
6. 肥料で起こりやすい失敗と対策

肥料は植物を育てるうえで欠かせない存在ですが、与え方を間違えると、かえってオリーブの健康を損ねてしまう原因にもなります。
ここでは、オリーブ栽培でよくある肥料に関するトラブルとその対処法をわかりやすく解説します。
① 葉ばかり茂って実がならない(つるぼけ)
見た目は元気なのに、花が咲かない・実がならない…。これは窒素(N)過多が原因の代表的なトラブルです。
窒素は葉や枝の生育に必要な栄養素ですが、多すぎると花芽の形成が抑制され、「つるぼけ」と呼ばれる状態になります。
対策:
・窒素の少ない果樹用肥料や、リン酸・カリウム重視の肥料に切り替える
・春〜夏に肥料を与えすぎないよう注意し、少なめで様子を見る

② 葉が黄色くなる・元気がなくなる
葉の色が薄くなったり黄色くなってきた場合、マグネシウム・鉄分などの微量要素の不足が考えられます。
特に鉢植えでは養分が偏りやすく、慢性的な栄養不足に陥ることもあります。
対策:
・微量要素入りの肥料(オリーブ専用や果樹用)を選ぶ
・状態が悪いときは液体肥料や葉面散布で速やかに補う
③ 肥料焼け(根が傷んで株がしおれる)
肥料を一度に多く与えすぎたり、真夏の高温期に追肥したりすると、根が傷んで“肥料焼け”を起こすことがあります。
葉が急にしおれたり、根元が黒ずんで枯れこむ場合は注意が必要です。
対策:
・肥料は株元から離して少量ずつ与える
・真夏や真冬は施肥を避け、根が動いている春と秋に集中する
・肥料を与えたあとは必ずたっぷり水を与えることで吸収を和らげる

④ 思うように育たない・成長が止まる
見た目に異常はなくても、成長がゆっくりだったり、実の数が極端に少ない場合は、全体的な栄養バランスの崩れや肥料切れの可能性があります。
対策:
・年3回の基本施肥に加え、鉢植えは月1回の液体肥料で補助
・2年に1度は土の入れ替えや根の整理をして環境をリフレッシュ
・育ちの悪さが続く場合は、土壌pHや水はけも確認
オリーブの肥料管理は、「与えること」以上に「与えすぎないこと・偏らせないこと」が大切です。
トラブルが起きたら、あわてて追加の肥料を与えるのではなく、まずは原因を見極めてから対処するのがポイントです。
7. 初心者におすすめの市販肥料3選
オリーブを元気に育てたいけれど、「どんな肥料を選べばいいかわからない」という声はよくあります。特に初心者の方にとっては、成分表示や形状の違いに戸惑うことも少なくありません。
そこでここでは、失敗しにくく、家庭栽培に適したオリーブ向けの市販肥料を3つ厳選してご紹介します。どれも使いやすく、必要な栄養素をしっかりカバーしてくれるものばかりです。
① 花ごころ「オリーブの肥料」
まずおすすめしたいのが、オリーブ専用に設計された粒状の緩効性肥料です。窒素・リン酸・カリウムのバランスが整っており、カルシウムやマグネシウムといった微量要素も配合されているため、オリーブに不足しがちな栄養素を効率よく補うことができます。
施肥の頻度は年2~3回で十分なので、こまめに管理するのが難しい方にもぴったりです。鉢植えでも地植えでも使用でき、施す量もわかりやすく、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
② 朝日アグリア「庭木・果樹の肥料」
果樹全般に使える有機配合型の肥料も、オリーブには非常に相性が良いです。有機質が土をふかふかにし、根張りを促進するとともに、緩やかに効くので肥料焼けのリスクも抑えられます。
また、継続して使うことで土壌が自然に整い、オリーブの長期的な健康維持にもつながります。特に「自然派志向」や「無理なく環境にやさしい栽培をしたい」という方に向いています。
③ フローラ 「HB-101(液体肥料・植物活力剤)」

3つ目にご紹介するのは、少し毛色の違う「HB-101」。これは一般的な肥料というより、天然植物抽出エキスをもとにした“活力剤”です。スギやヒノキ、マツなどから抽出したエキスには、植物の生命力を引き出す成分が多く含まれており、オリーブの根の活性化や光合成の促進、葉色の改善など幅広い効果が期待できます。
使い方も簡単で、水に薄めて週に1回程度与えるだけ。特に鉢植えで育てている方には、液体肥料の補助としても、日々の管理の一環としても取り入れやすいアイテムです。
天然植物活力液「HB-101」を使用すると、育たなかった果実、枯れてしまった花の数が減り、収穫率がアップ。
栽培のコストパフォーマンスが上がり、生産者としての喜びもアップします。
商品の詳細はこちらから

これらの肥料は、どれも園芸店やネットショップで手軽に入手できます。
どれを使えばよいか迷ったときは、
- 年間の手間を減らしたいなら… オリーブ専用緩効性肥料
- 環境にもやさしく育てたいなら… 有機配合型肥料
- 植物の元気をすぐに取り戻したいなら… HB-101
というように、目的に合わせて選ぶのがコツです。
8. まとめ|肥料を味方にすればオリーブ栽培はもっと楽しくなる!
オリーブは見た目の美しさと育てやすさから、家庭菜園やガーデニングでも人気の高い植物です。しかし、その魅力をしっかり引き出すには、「肥料の力」を上手に使うことが不可欠です。
特に実を収穫したい場合や、葉色を鮮やかに保ちたい場合は、施肥のタイミング・種類・量を適切に調整することが、健康な成長と美しい姿を保つ鍵となります。
また、鉢植えや地植えなど育てる環境によっても、必要な肥料の量や頻度は変わります。これまで何となくで与えていた肥料を、「いつ、何のために、どのくらい」を意識して与えるだけで、オリーブの反応が目に見えて変わってくるはずです。
難しそうに感じるかもしれませんが、基本のサイクル(春・夏・秋)をおさえ、目的に合った肥料を選ぶことで、初心者でも失敗なく取り組めます。
また、日々の育成の中で葉色や樹勢を観察しながら微調整することも、オリーブ栽培の醍醐味のひとつです。
肥料は単なる“栄養”ではなく、植物との対話を深めるツールでもあります。
オリーブと長く付き合うために、ぜひ肥料の与え方にも少し意識を向けてみてください。
きっと、これまで以上に育てることが楽しくなってくるはずです。
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