そら豆栽培の摘心タイミングと方法を解説|実をたくさんつけるコツとは?

  • URLをコピーしました!
目次

1. はじめに|そら豆の収穫量は「摘心」で変わる!

そら豆

そら豆は、家庭菜園でも人気の春野菜。植え付けからゆっくりと育て、いざ春〜初夏にかけての収穫を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、「背丈はどんどん伸びるのに、肝心の実がなかなかつかない…」「花が咲いたのに実がふくらまない…」といった悩みにぶつかることも少なくありません。

その原因のひとつが、「摘心(てきしん)」の有無です。

摘心とは、そら豆の主茎(いちばん太い茎)の先端部分を切り取る作業のこと。成長を止めることで、それ以上に草丈が伸びないようにし、それまで上へ上へと伸びていたエネルギーを、今度は“実”へと集中させる効果があります。つまり、摘心は単なる剪定ではなく、実を大きく・甘く・たくさん育てるための大切な栽培テクニックなのです。

特に家庭菜園では、栽培スペースやプランターのサイズに制限があるため、植物の成長をうまくコントロールすることが成功のカギになります。摘心をせずに放っておくと、そら豆の茎はどんどん徒長(とちょう)し、風に倒れやすくなったり、実に十分な栄養が届かず小粒になる原因にも。

一方、適切なタイミングで摘心を行えば、草丈はほどよくおさまり、株が安定し、実がふっくらと育ちやすくなります。支柱立てや整枝とあわせて行うことで、風通しや病害虫対策にもつながるなど、メリットはたくさんあります。

この記事では、そら豆栽培における摘心の目的、いつ・どこを・どうやって切ればよいかといった実践的な情報を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。これから摘心に挑戦したい方、そら豆の収穫量をもっと増やしたい方は、ぜひ最後までご覧ください!

2. 摘心とは?そら豆栽培でなぜ必要なのか

摘心とは?そら豆栽培でなぜ必要なのか

「摘心(てきしん)」とは、植物の生長点(茎の先端部分)を意図的に切り取る作業のことをいいます。園芸ではよく使われるテクニックで、野菜や果樹、草花の「育ち方」や「実のつき方」を調整する目的で行われます。

そら豆の場合、この摘心は実の収穫量やサイズを大きく左右する非常に重要な作業です。

というのも、そら豆は放っておくと茎がぐんぐん上へと伸びていきます。これは一見、順調に育っているように見えますが、草丈ばかりが伸びると、株全体の栄養が上方向に分散してしまい、実に十分な栄養が届かなくなるという落とし穴があります。これを「つるボケ」「草勢が強すぎる」とも言います。

この状態になると、花は咲いても実がうまく育たない、小さな実しかつかない、あるいはまったく結実しないという結果になってしまうことも。さらに、背丈が高くなりすぎることで風に煽られ、株が倒れたり傷んだりといった物理的なトラブルも増えてしまいます。

そこで行うのが「摘心」です。成長のピークを見極めて茎の先端を切ることで、株の生長をストップさせ、栄養が“実”に集中するよう仕向けるのがこの作業の役割です。加えて、摘心には以下のようなメリットもあります。

  • 草丈をコンパクトに抑えて管理しやすくなる
  • 株の安定感が増し、倒伏しにくくなる
  • 花や実の数を調整でき、実が充実しやすくなる
  • 風通しがよくなり、病害虫のリスクが下がる

特に家庭菜園やベランダ栽培など、限られたスペースでそら豆を育てている場合は、摘心によってコンパクトに仕立てながら、効率よく実を育てることがとても重要です。

摘心はほんの数分で終わる作業ですが、その効果は驚くほど大きく、最終的な収穫量や実の質に大きな差を生む“分かれ道”となります。

3. 摘心のタイミングはいつ?見極めのポイント

摘心のタイミングはいつ?見極めのポイント

そら豆栽培での摘心は、「いつ行うか」が成功のカギを握ります。早すぎても遅すぎても、株に余計なストレスがかかってしまい、思うように実が育たなかったり、逆効果になってしまうこともあります。

では、そら豆の摘心はいつ行うのがベストなのでしょうか?

3-1. おおよその目安:草丈60~70cmになった頃

摘心のタイミングとして一般的に言われているのが、草丈が60〜70cm程度に達した頃。この時期にはそら豆の成長もピークに近づいており、上へ伸びる力をここでいったん止めることで、実を太らせるステージへと栽培のフェーズが切り替わります。

3-2. 目印になるのは「花の咲き具合」

草丈だけでなく、「花が咲いている位置」や「段数」も摘心タイミングの目安になります。

  • 1番花(株の下の方に咲く花)が咲いてから、5~6段目まで花が咲き終わった頃が適期
  • 花が上のほうまで咲き進んできたら、「もうこれ以上上には実をつけなくてよい」というサイン

このタイミングで摘心することで、それ以上花や実をつけるのを止め、今ついている実に栄養を集中させることができます。

3-3. 地域や気温によって前後することも

暖地では生長が早いため、やや早めの摘心(4月中旬頃)が必要な場合もあります。一方、寒冷地では花が咲くのが遅れるため、5月以降まで様子を見るケースもあります。

また、気温が安定し、霜の心配がなくなってから摘心するのが基本。まだ寒さが残っている時期に切ってしまうと、切り口から傷んでしまうリスクもあります。

3-4. 摘心の時期を逃すとどうなる?

摘心が遅れてしまうと、株は引き続き上へ上へと生長し、実が十分に育たなかったり、小さくて味の薄い実がついてしまう原因に。また、実がたくさんつきすぎて1つひとつのサイズがばらつき、収穫も不安定になります。

逆に、早すぎる摘心もNG。まだ十分に花をつけていない段階で摘んでしまうと、実の数そのものが少なくなってしまいます。

4. 摘心のやり方|どこを、どのように切る?

摘心のやり方|どこを、どのように切る?

摘心のタイミングを見極めたら、いよいよ実際の作業に入ります。摘心は難しそうに見えて、ポイントさえ押さえれば誰でも簡単にできる作業です。ここでは、摘心に必要な道具や切る位置、注意点を詳しく解説していきます。

4-1. 用意するものは「清潔なハサミ」だけ

摘心には特別な道具は必要ありません。園芸用のハサミやキッチンばさみでOKです。ただし、切り口から雑菌が入ると病気の原因になるため、刃をアルコールで拭くなど、必ず清潔な状態で使いましょう。

created by Rinker
浅香工業(Asaka Kougyou)
¥781 (2025/04/24 13:54:44時点 Amazon調べ-詳細)

4-2. 切る場所は「主茎の先端」だけでOK

そら豆の摘心では、基本的に主茎(いちばん太く、まっすぐに伸びている中心の茎)の先端部分を1〜2cmほどカットします。

  • 花が5〜6段咲いたあたりで、そのすぐ上の芽を目安に切るのが一般的
  • 1つの株に複数の茎がある場合も、それぞれの主茎を1本ずつ摘心します
  • 側枝(わきから出ている枝)は基本的に残してOK。すでに花や実がついていれば、そのまま育てましょう

摘心によって草丈の伸びが止まり、株全体の栄養が下部の花や実に集中するようになります。強く切りすぎる必要はありません。「これ以上伸ばさなくていいよ」と植物にサインを送るようなイメージで行いましょう。

4-3. 摘心する時間帯とタイミング

  • 作業は午前中、できれば晴れて風通しのよい日を選びましょう。
  • 雨の日や夕方に切ると、切り口が乾きにくく、病気のリスクが高まります。

切り口は自然に乾いていくので、特別な処置は不要ですが、風通しを意識した場所で育てていることが前提になります。もし密集している場合は、同時に株元の整枝(混み合った葉や枝を間引く作業)も行うと◎です。

4-4. 株によっては「側枝の摘心」も有効

草勢が非常に強い場合や、側枝が暴れて実が育ちにくそうな場合は、側枝の先端を軽く摘んでバランスを整えるのも一つの方法です。ただし、実がついている側枝は切らないよう注意してください。

摘心は一度きりでOK。切ったあとにまた伸びてきたからといって何度も繰り返す必要はありません。一度の作業で、株の生長バランスと実の充実度がぐっと変わるのが摘心の醍醐味です。

5. 摘心とあわせて行いたい管理作業

摘心とあわせて行いたい管理作業

摘心を行ったあとは、株のエネルギーが実に集中する大切な時期。ここから収穫までは、実を充実させるための“仕上げ期間”とも言えます。このタイミングでいくつかの管理作業をあわせて行っておくことで、よりしっかりとした実が育ち、そら豆栽培の完成度がぐんと高まります。

5-1. 支柱立てと誘引|株を安定させて倒伏防止

摘心後は草丈の伸びが止まるとはいえ、株全体に実がつきはじめると重みで倒れやすくなります。特に風が強い日や雨の翌日には、株が傾いたり、枝が折れるリスクも。

  • 支柱は主茎に沿って1本、または数本立てて、麻ひもなどで軽く固定
  • 過度に締めつけず、ゆとりをもたせて「8の字」で結ぶのがポイント
  • 株全体が安定するよう、ぐらつきのある枝も支柱に寄せてまとめる

しっかり支柱を立てておけば、実の重みがかかっても倒れにくくなり、病害虫の発生リスクも減少します。

5-2. 追肥|実をふっくら育てる“後押し栄養”

摘心後は、そら豆にとって最も栄養が必要な時期。この時点で一度追肥を行うと、実の充実度が大きく変わってきます。

  • 摘心後すぐ、または1週間以内に株のまわりに緩効性肥料(化成肥料)をまく
  • 粒状タイプなら軽く土に混ぜ込み、水やりでなじませる
  • 有機系や液体肥料を使う場合は、濃度に注意して定期的に与える

肥料が少ないと、実入りが悪くなったり小さな実が多くなりがち。“あとひと押し”を意識した追肥が、収穫の満足度を左右します。
野菜・果実・米・茶・花・樹木と、すべての植物栽培にお使いいただける天然植物活力液「HB-101」
農園はもちろん、家庭菜園・ガーデニング・ベランダ園芸など、植物を育てるすべての方におすすめです。

あわせて読みたい
家庭菜園の肥料、これで失敗しない!種類・使い方・タイミングまで完全ガイド 1. はじめに 家庭菜園を始めたばかりの方にとって、「肥料」はちょっと難しそうに感じるテーマかもしれません。「どれを選べばいいの?」「いつ、どれくらいあげるの?...

5-3. 病害虫対策|摘心後は風通しがカギ

摘心によって風通しがよくなると、病害虫のリスクもぐっと下がります。ただし、油断は禁物。うどんこ病やアブラムシなどは摘心後も発生しやすいので、こまめな観察と早期対策が必要です。

  • 葉に白い粉のようなカビ(うどんこ病)を見つけたら、早めにその葉を除去
  • アブラムシは見つけ次第、手で落とす or 水で流す/必要に応じて園芸用殺虫スプレーを使用
  • 株元に不要な葉や雑草がたまらないよう、整理整頓を意識する

この時期は、病気よりも“油断”が最大の敵。切り口の乾き具合、葉の色、実のふくらみなどを日々観察し、小さな変化を見逃さないことが大切です。

あわせて読みたい
虫除けはこれでOK!家庭菜園を楽しむための基本知識 1. はじめに 家庭菜園は、自然の中で土に触れながら、野菜やハーブなどを育てる楽しさが魅力です。自分で育てた野菜を収穫して食べる喜びは格別で、健康志向の高まりと...

摘心は、そら豆栽培において“分岐点”ともいえる大切な作業。その後の管理をしっかり行うことで、実の数・大きさ・味わいがまったく違ってきます。

6. まとめ|摘心は“収穫量アップの分かれ道”!

そら豆栽培における「摘心」は、たった一手間で収穫量と実の質を大きく左右する、非常に重要な作業です。背丈が伸びることに安心していると、実が小さくなったり、数が減ってしまう…そんな失敗も摘心でしっかり防ぐことができます。

適切なタイミングで主茎の先端を切ることで、株の生長は実の充実へと切り替わり、ふっくらとした実をたくさん育てる土台が整います。さらに、摘心とあわせて支柱立てや追肥、風通しの管理を行えば、病気も防げて株全体が元気に育ちます。

「本当に切って大丈夫かな…?」と不安になる気持ちもわかります。でも、そら豆にとってはむしろその一手が“実を育てるサイン”
たった数分の作業が、1か月後の実りにしっかりつながっていきます。

収穫の喜びを最大限に味わいたい方は、ぜひ摘心を取り入れてみてください。そら豆栽培の成果は、あなたのひと手間で大きく変わります。

節約上手はもう始めてる!“賢い野菜サブスク“活用術

野菜をムダなく使い切りたい、食費を抑えたいという方には、自分に合った野菜サブスクの活用もひとつの方法です。
コスパやライフスタイルに合わせた選び方をまとめたガイドはこちら。

あわせて読みたい
野菜サブスクを始める前に知っておきたい5つのポイントとおすすめサービス 1. はじめに スーパーに行く時間がなかなか取れない、野菜をもっと取り入れたいけどつい偏ってしまう——そんな日常の中で注目を集めているのが、「野菜のサブスク(定期...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次